老化が止められる。こんな夢のような研究が世界中で行われているそうです。
情報番組「羽鳥慎一モーニングショー」の日替わりコーナー「そもそも総研」では、30年以上にわたり老化のメカニズムについて研究をされている、ワシントン大学医学部 今井眞一郎教授に話を伺いました。その内容を紹介します。
老化とは
今井教授によると、老化とはカラダの様々な機能が減退していく過程と言うことで、現時点で、老化になる原因は二つ考えれれているそうです。
一つは、遺伝情報を保っているDNAにいろいろなタイプの傷が入ってくる。また、細胞自体が様々なタイプのストレスを受けてダメージを受けてしまう。このような蓄積が老化の原因一つ。
もう一つは、私たちのカラダの中で起こっている慢性炎症が老化の重要な要素だと考えられているそうです。
慢性炎症とは、今井先生の話によると、私たちのカラダの中に細菌などの他の異物が入ってくると、カラダを守ろうとして免疫システムが炎症物質を放出しようとします。すると、発熱や痛みなどを起こします。これが炎症です。
ところが、急性な炎症が治まった後にも、炎症物質が続けて放出されることがあり、ダメージが蓄積されてしまいます。これが慢性炎症なんだそうです。
慢性炎症により、動脈硬化やガンなどが引き起こす可能性があることが最新の研究で分かってきているそうです。
老化の原因は「NAD」の減少が関係している
全ての生物の細胞に存在する物質でNADと呼ばれている物があり、このNADの減少が様々な機能の減退の原因だと分かっているそうです。
私たちは、生命を維持するために栄養や酸素を取り入れ、呼吸をしてエネルギーに変えて生きていますが、その際に必要なのがNADです。
この私たちのカラダで必要なNEDが減少する事で機能が減退してしまうなら、どうやって、そのNADを補うか? これが、今井教授など世界中の老化分野の研究者の課題となっているそうです。
老化を食い止める救世主は「NMN」
様々な研究をしていく中で分かってきたのが、NADがつくられる前の物質「NMN」と呼ばれている物質についてです。
マウスを使った実験では、この「NMN」を補充するとカラダの中に取り込まれてNADに変換され、老化を遅らせる様々現象が起ることが確認されたそうです。
マウスの実験で確認された若返り現象
私たちは、加齢と共にエネルギー代謝が悪くなり脂肪がつきやすくなりますが、マウスの実験では代謝が活発になった事が分かったそうです。
今井教授が行ったマウス実験では、月齢5か月~17か月までの正常なマウスにNMNを1年間投与して実験を行いました。
すると、NMNをマウスに補充すると食欲が旺盛になり代謝が活発になり体重も9%減少したそうです。体重が減少したので病気ではないかと検査をした所、異常はなかったそうです。
これは、エネルギー代謝が上がったことを意味していているのだそうです。
どの位、エネルギー代謝が上がったのかと言うと、月齢17か月のマウスでは6か月若返ったそうで、これをヒトに換算すると60歳前後の人が40歳の代謝に戻るのに相当すると考えられるそうです。これは凄いですよね。
今井教授の研究では、その他にも様々な良い効果が確認されています。
- 血中のコレステロールや中性脂肪などの値の改善
- 血糖値を下げるホルモンインスリンの効きが良くなった
- 目の機能の改善
- 骨の密度も改善
- 免疫細胞の数の増加
- 脳内にある神経幹細胞の減少をくいとめる
など、抗老化作用があることが2016年に証明されているそうです。
現在、ヒトでも研究がすすめられているところで、実用化になるのはそんなに遠い先の話ではなく1年から2年くらいでそうなればいいと話されていました。
早く、実用化されるといいですね。